#56「アラーキーとシノーキー 完結編」
2008.02.04
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覚
えているだろうか?
今から1年と少し前、縁があってアラーキーに写真を撮ってもらったことがあることを。
(読んでない人は、こちらからどうぞ→
アラーキーとシノーキー
)
あの写真が何に使われ、その後どうなったのか正直、いまいちよくわかっていなかった。
あれ以来、あの時の写真を見たことがなかったし、それはもう記憶の片隅に追いやられた過去の出来事となっていた。
今日のこの日までは。
人生とは、ある日突然、思いもよらないことがおこるもの。
なんと今日、偶然あの日にアラーキーが撮った写真を発見したのだ。
会社帰りに何気なく立ち寄った早稲田の本屋さん。
何か面白そうな写真集はないかと、写真のコーナーの前で足が止まった。
普段、特にアラーキーの作品を気にして見ているわけでもないのだが、
ちょうど目の高さに陳列されていた彼の新作。
写真集のタイトルは「東京愛情」。
天才アラーキーが東京のさまざまな場所を訪れ、人々が見せる幸せを撮った作品集。
本を手にとり、パラパラとページをめくる。
目に飛び込んでくる、
いろんな人々のいろんな笑顔。
東京タワーに観光にきた親子、卒業式の高校生、相撲部屋に入って間もない新弟子、
介護施設で暮らすご老人、109の若者、フラダンス教室やバレエ教室で稽古をする人々など。
その時だ。
ざわざわとした感触が一瞬、背中を通過した。
「待てよ、ひょとして、ひょっとすると・・・」
ページをめくる親指の動きが加速してゆく。
「まさか、あの時の写真って、この写真集の為だったんじゃないのか?」
脳裏をよぎる、ざわついた予感。
そして、勢いよく紙をはじく親指がピタッと止まった。
「ヨガ教室 代々木」
インストラクターの前で、背中を曲げて、真剣にヨガをする生徒達のモノクロ写真。
そして、そこに焼き付かれていた、自分のヨガ姿。
笑った。
早稲田の本屋で、ひとり、にやにや笑った。
一人だけ、リハビリ中の老人がいます。
ハッキリと顔は写っていないけど、間違いなくこの錆び付いたロボットのような背中は、自分のものです。
そして、もう一枚。
一人だけ、足が曲がってます。
明らかにポーズが辛くて、楽をしていた証拠写真です。
決定的瞬間は逃さない。
さすが、天才アラーキー!恐るべし!
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