フォトグラファー篠部雅貴の写真サイト 。ポートレート(人物)、風景写真のSLOW WALK。

「ドラマなフリマ  ー2007年10月6日、7日 アート縁日を終えてー

直、今回のアート縁日の準備は大変だった。
まず、開催の約2週間前にパソコンが故障。
「そろそろやばいかなぁ、でももう少し大丈夫かなぁ。」
なんて考えていたら
突然、氷のように固まってしまったパソコン。
それからホームページの更新も、プリントもできない日々が続く。
修理に出したのはいいが、直るのは3週間後。
完全に間に合わない。

結局、新しいパソコンを急遽買うことで問題解決。

それから休日に作業をまとめてやろうと計画していたら、休みの前日に入った急な仕事。
なんだかんだで、準備がすべて終了したのが、開催当日の午前4時。
開催当日の午前中は頭もぼーっとして、あくびが止まらない。
「なんでこんな苦労してまで出店してるんだろう?」なんて考えたりもした。

でも2日間が終わってみると、出店して良かったってやっぱり感じる。

今回は3年振りの久々の出店。
いまさら3年前によくお店に来てくれたお客さんに、案内を送るというのも、少し気が引ける。
だから、ホームページで宣伝しただけで、誰にも直接声をかけたりはしなかった。

それでも、わざわざ足を運んでくれる人達がいる。

店構えも地味だし、このメール全盛の時代に、唯一の商品はポストカード。
それなのに、
「とても楽しみにしてました。」とか、
「来年もまた出店してください。」とか、
「前回のアート縁日で一番印象的でした。」とか、
ありがたい言葉をかけてくれる心優しい人がいる。泣けるね、ホントに。

フリマに出店する目的は、もちろんお金じゃない。
休日に働かなければいけないほど、お金に困っているわけでもないし。
それじゃぁ、何なのか?と問われれば、
「それは出会いだ。」と僕は迷わず答える。
今回もいろいろと、嬉しい出会いや再会があった。

もう4、5年くらい前になるだろうか、フリマで知り合った子に声をかけ写真を撮らせてもらったことがある。
その子が、3年前のアート縁日に遊びに来てくれ、
「今度結婚することになったんです。」とめでたい報告をしてくれた。
それから3年が過ぎ、何も連絡していなかったのに、その子が旦那さんと一緒に遊びにきてくれた。
両腕にかわいい男の子の赤ちゃんを抱えて。
彼女は本当に幸せそうで、久しぶりに僕はカメラを向けた。今回は一人じゃなく、子供と一緒に。

それから、しばらくすると、ここにいるはずの無い知ってる顔が、視界のはじの方に映った。
親戚のおじさんだ。その後ろにはおばさんもいて、続いてなぜか母と父の姿もこっちへやってきた。
みんなもホームページを見てくれてわざわざ栃木の田舎から、連絡も無しに来てくれたんだ。
その後、兄貴まで来てくれ、
「実は今度結婚することになったんだよ。」とこれまためでたい報告をしてくれた。

そろそろ閉店の時間が迫ってきた頃、眼を赤くした一人の女性がお店に向かって歩いて来た。
数年前のアート縁日で知り合った人だ。
でも、少し様子がおかしい。両眼を手でおさえている。
「ごめんなさい。さっき思わず泣いちゃって。」
何かシリアスな出来事が彼女に起こったことが、その様子から伝わってきた。
「実は今日、父が肺がんの検査を受けて・・・。」
そう言いながら、また一層彼女の眼は赤くなった。
「今日ずっと病院から連絡を待っていて、それで、さっき肺がんじゃないってことがわかったんです。」
ホッとした。彼女の唇がいい方向の話に動いてくれたので、一瞬でまわりの空気の濃度が軽くなった。
「だから、ようやくこうして写真を見に来ることができたんです。これからはもっと親孝行します。」
そういって、彼女は泣きながら笑った。

たった一日でこんなにたくさんのドラマチックな出来事が起こることってそうそうない。
出店したからこそ、こんな嬉しい出会いや再会ができた。
フリマはいつもドラマをくれる。
そんなことに気づかせてくれた3年ぶりのフリマだった。



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